「くまクマ熊ベアー」河瀬茉希さん振り返りインタビュー【前編】
いよいよ最終回を迎えるアニメ『くまクマ熊ベアーぱーんち!』。2シーズンに渡ってユナを演じてきた河瀬茉希さんに、最終回直前のスペシャルインタビューを実施しました。ユナとの出会いから現在までを振り返っていただく大ボリュームの内容を前後編にわたってお届けします!
河瀬茉希(ユナ役)
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『くまクマ熊ベアーぱーんち!』もいよいよ佳境を迎えます。第1期、第2期と演じられてきて、本作のどのようなところに魅力を感じていますか?
何よりもリラックスして見られるところですね。バトルはあるけれど殺伐としているわけではないですし、ユナは日常を日常として大事に生活する子なので、基本的に穏やかな空気が流れているところに安心感があります。あとは、ユナが強いところ(笑)。どんなに強いモンスターが出てきてもユナがいれば大丈夫という頼もしさがあるので、怖がって見なくていいところが魅力的だなと感じます。
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確かに、ユナには絶対的な強さがありますよね。
しかも自分の力、強さをちゃんと理解しているので、ちょっとしたことでは動じないんです。カッと怒ることもあまりないので、そういう部分でも変に緊張せずに見られます。
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ユナを演じる際に何か心がけていることはありますか?
余裕がある分、感情の出し方はフラットなんですが、コミカルなシーンはちゃんとコミカルさが出るようにしています。ユナは相手に対してボケもツッコミもできる子。お話の流れの中に「ここは面白くしたいんだろうな」というポイントを見つけたら、絶対に逃さないぞという気持ちで言い回しにこだわることが多いです。例えば、カタコトで喋ってみたり、あえてユナっぽくないテンションで演じてみたりと、そういう表情変化をつけるようにしています。
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ユナのテンションのアップダウンも面白いところですよね。
特に第2期はユナがこの世界により順応したこともあって、第1期以上にいろいろな表情を見せてくれるようになりました。「脱力、落ち着き、リラックス」がベースにありつつ、怒られてしょんぼりしたり、気持ちを切り替えてケーキ作りに燃えたりと、いろいろな顔を出すんです。「ユナはこういうキャラだよね」と固定されていないところがユナらしさというか。いろいろな人たちと接するたびに新しい表情を見せてくれるのがかわいいなと思います。
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その「ユナらしさ」は最初から把握されていた感じですか?
第1期の最初の頃は「脱力しなきゃ、脱力しなきゃ」と、ユナの強さや余裕を意識しすぎて、今思うと逆に力を抜くことに力が入っていたなと思います。第1期をユナとして生きてきた分、第2期はたくさん遊びを入れられるようになりました。
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もともとミサーナ役で本作のオーディションを受けられたとうかがいました。
そうなんです。ミサ役としてオーディション会場に行ったら、その場でユナもやってみてもらえませんかと言われたんです。
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ユナの役作りをしてオーディションに臨まれたわけではなかったんですね。
ただ、ミサが話す相手が基本的にユナだったので、「ユナはこういう主人公でこういう性格をしているから、こういうやりとりをするんだろうな」とは考えていました。それがベースにあったのと、リラックスして地に近いところで演じられたことで、光栄にもご縁があったのかなと思います。
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最初のアフレコのことは覚えていますか?
やっぱり最初は探り探りでした。ユナは余裕があって、何事もさらっと受け流す子。例えば、戦闘中の抑揚もあまりなくていいですよと、そういうディレクションがあったんです。結果、地声に近いところになったんですが、お芝居は声を作ったほうが抑揚をつけやすいものなので、OKはいただきつつも試行錯誤は結構ありました。
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ユナというキャラクターを掴めるようになったきっかけの話数はありますか?
ルリーナさんと冒険に出た#3あたりですね。ユナの交友関係がどんどん広がっていって、コミカルな感じの喋り方も増えてくるんです。私も「じゃあ、今度はこういうふうにやってみよう」と、楽しみながら演じられるようになりました。
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第1期の#1~4くらいまでの前半戦で、何か思い出に残っていることはありますか?
物語とはちょっと違うんですが、第1期の前半ってまだみんなで一斉にアフレコをしていたんですよ。
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分散収録になる前だったんですね。
そうなんです。途中から分散収録になってしまったんですが、最初に「このキャラクターはこういう声でこういうお芝居をするんだ」と把握できたのは大きかったです。
ユナは主人公ですし、セリフ量もかなり多いので、分散収録の場合はだいたい最初のグループになるんです。そうすると他のキャラクターの声もお芝居もわからないまま想像で演じないといけなくて。もし最初から分散収録で相手の方のお芝居が想像できなかったら今以上に悩んでいたと思いますし、前半で皆さんのお芝居を把握できたことで後半も違和感なく演じられたのかなと思います。 写真左から、日高里菜、河瀬茉希、和氣あず未、富田美憂
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さらに登場人物が増えていく中盤以降はいかがでしょうか?
よく覚えているのが#5のクリフとのやりとりですね。ユナが感情をあらわにするという新鮮なエピソードで、そのあと自分の発言を反省して恥ずかしさで悶えるところも含めて、また新たな表情を知ることができました。
あとは第2期でも重要な立ち位置になってくるエレローラさんをはじめ、シアやミサーナが登場した#7も印象に残っています。第2期でエレローラさんが言っていましたが、そういえばシアもユナといきなり対決をしたなって懐かしくなりました。
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ただ、シアとはすぐに打ち解けていましたよね。
そうなんです。クマだクマだとバカにされても、そのあとちゃんと認めてくれる相手とはすぐに打ち解けられるんです。もともと引きこもりだったとは言いますが、完全に拒むわけでもないんだなと思いました。
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そして、後半はフィナとのすれ違いがクローズアップされました。ユナとフィナの関係性についてはいかがでしたか?
フィナにとってユナは命の恩人でもあり、頼ってくれる人でもあります。自分は特別な距離感なんだと思っていたけれど、ユナはいろいろな場所でたくさんの人に感謝されている。自分が考えていた距離感とユナが考えている距離感は違うんじゃないか。フィナが幼いながらにそういうことを考えてしまったところが、もどかしくもあり、愛おしくもありました。
ユナ自身も決して悪気があるわけではないんです。ユナにとってもフィナは恩人だし、とても大事に思っている。ただ人との付き合い方に慣れていないから、離ればなれのときの感情の正体がわからなかった。それでお互いにすれ違ってしまったのかなと思います。 -
でも、最後はそのすれ違いを乗り越えられて。
フィナも自分の気持ちをちゃんと言えるようになりましたし、そのおかげで第2期の距離感になったのかなと思います。